iDeCo(イデコ)節税メリットの一つ「所得控除(所得税・住民税の軽減)」について、サラリーマンのケースで詳しく解説します。
目次
所得税・住民税の軽減メリット
例示を交えながら詳しく解説したいと思います。まずは以下の例示を確認してください。
上記例の会社員の場合、iDeCo(イデコ)で年間276,000円を積み立てしています。その結果、所得税・住民税の節税メリットが55,200円も出ています。これからその内容について詳しく解説していきます。
所得税軽減メリットの確認
最初に所得税の軽減メリットについて確認方法を解説します。
所得税の軽減メリットを知るために、源泉徴収票を確認してください。
まず、源泉徴収票から課税所得を計算します。
課税所得は上図の通り(1)-(2)で計算します。
上図の「ふくりねこ太郎さん」の場合、課税所得は「202万円」です。
次に所得税の税率を以下の速算表で確認します。
「ふくりねこ太郎さん」の場合、課税所得は202万円でしたので、所得税の税率は「10%」になります。
iDeCo(イデコ)の控除額は、先ほどの源泉徴収票の(2)に含まれています。実際の控除額は下図のように「社会保険料等の金額欄」に記載されています。
「iDeCoの控除額 × 所得税率」が実際に軽減された所得税額になります。
- iDeCoで軽減できた所得税額計算
- 276,000円 × 10% = 27,600円
「ふくりねこ太郎さん」の場合、27,600円がiDeCoの控除によって実際に軽減できた所得税額になります。
住民税の軽減メリット
住民税の軽減メリットは、iDeCoの控除額×10%で計算できます。
iDeCoの掛金が住民税からきちんと控除されているかどうかは、毎年6月頃に自治体から発行される住民税の「特別徴収税額の決定・変更通知書」によって確認することができます。
上図の通り、iDeCoの控除額は「小規模企業共済」の所得税控除の欄に記載されています。
「ふくりねこ太郎さん」の場合、276,000円 × 10% = 27,600円がiDeCoの控除によって実際に軽減できた住民税額になります。
まとめ
今回の例示でお得になった金額は、
所得税 27,600円 + 住民税 27,600円 = 55,200円
ということになります。
所得税率が10%の方の場合、iDeCoに 276,000円の掛金を拠出すると、55,200円の税軽減効果があります。
つまり事実上「220,800円」で「276,000円」の貯蓄ができたことになり、とても大きなメリットなのです。iDeCo(イデコ)がおすすめされる理由はここにあります。
注意事項
給付時に所得税が発生する可能性があります
iDeCoの掛金は所得税・住民税から控除されますが、iDeCo(確定拠出年金)制度としては「給付時まで課税が繰り延べされる」という扱いであり、60歳以降に給付を受ける際に所得税が発生する可能性があります。
ただし給付時にも非課税枠が設けられており、iDeCoの他に企業年金や退職金が無いサラリーマンの場合はかなりの部分が(もしくは全額が)非課税枠に収まる可能性も十分に考えられます。
給付時の非課税枠に関する情報は以下の記事をご覧ください。
また、企業年金や退職金があるサラリーマンの方については「退職所得控除」について若干注意が必要です。(給付方法によって課税範囲が広がる可能性がある。)
この辺りは、情報を整理してまた記事にしたいと考えています。
特別法人税(凍結中)
前述の通り、iDeCoは「掛金への課税が給付時まで繰り延べされている制度」であり、その延滞利息として「特別法人税」という税制が存在しており、特別法人税はiDeCoの資産に対して年1.173%の税率となっています。
ただし、iDeCo(確定拠出年金)制度の開始時に特別法人税は「凍結」されており、現在まで凍結が継続しています。もし特別法人税の凍結が解除された場合には、iDeCoの資産が課税対象になる可能性があります。
個人的には特別法人税の凍結解除は「自分年金」というiDeCo制度の基本理念をくつがえすような事で、あり得ないことだと考えますが、特別法人税を「廃止」にせず「凍結」としているお役所のお考えは理解が難しいところです・・・。
おすすめ金融機関
iDeCo口座を開くおすすめの金融機関はSBI証券です。
iDeCo口座を開設する金融機関を選ぶ際に最も重要なことは、長期運用に適した運用商品の取り扱いがあることです。
SBI証券の「セレクトプラン」は2018年11月に新しく開始したプランで、「低コスト・多様性」を重視してSBI証券が運用商品を厳選したプランになっています。
ネット証券の中で口座開設数1位のSBI証券は、私も長年利用していますが、「利用者が求めていること」を敏感に察知し、素早く対応してくれる心強い証券会社だと思います。
今では多くの金融機関が採用している「iDeCoの運営管理手数料ゼロ円」を最初にスタートしたのもSBI証券です。信頼できる金融機関だと思います。
あとがき
iDeCoは多くの人にとってメリットの大きな制度であり、運用期間のことを考慮すると遅くとも40歳までには開始したい制度です。
しかし税制など理解が難しいことも多いため、今一つメリットを感じることができず、加入者が十分に伸びていないように思います。
iDeCoの加入者は2019年1月時点で115万人ですが、加入対象者は6,500万人以上であり、現時点での加入者割合は1.8%にも満たない程度です。
iDeCoの制度について私なりの方法で、これからも分かり易く解説していきたいと考えています。